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財務経理とFP&Aの違い

経理・財務・FP&A・経営企画──すべて“数字を扱う仕事”としてひとくくりにされがちですが、実際には役割も働き方もまったく異なります。これからファイナンス職を目指したいと考えている方にとって、「どの職種を選ぶべきか」「自分に合っているのはどれか」は悩みどころではないでしょうか。

特に日本企業では、欧米と違ってFP&Aが明確に独立した部門として存在していないことも多く、「経営管理部」や「経営企画部」との違いもわかりにくいのが実情です。名前だけでなく、仕事内容や役割の本質から理解することが、ミスマッチのないキャリア選びにつながります。

本記事では、経理財務・FP&A(・経営企画)の違いを、図解を交えながらわかりやすく整理しています。それぞれの特徴・向いている人・キャリア特性まで丁寧に解説しているので、これからファイナンス分野への一歩を踏み出す方にとって、職種選びの判断材料となるはずです。

目次

財務・経理・FP&Aの違いとは?|役割・目的をわかりやすく解説

ポイント
  • 経理=過去の取引を正確に記録・報告する役割
  • 財務=資金を管理・調達し、会社の資金繰りを支える役割
  • FP&A=業績分析や予算策定を通じて経営判断を支援する役割

一見すると「数字を扱う職種」という共通点から混同されがちですが、経理・財務・FP&Aはそれぞれ異なる役割を担っています。経理は企業活動の結果を記録・整理し、財務諸表などを作成する業務が中心です。いわば「過去」の事実を正確に残すことがミッションです。

一方、財務は会社のお金の流れを管理するポジションで、資金繰りの計画や銀行との折衝、資金調達などが主な業務です。経理が作成した情報をもとに「今の資金をどう動かすか」に責任を持ちます。

そしてFP&A(Financial Planning & Analysis)は、「未来」に視点を置く職種です。売上やコストの分析、予算の策定、事業計画の立案などを通じて、経営層にとっての意思決定材料を提供します。戦略と数字をつなぐ、橋渡し的な存在とも言えるでしょう。

このように、同じファイナンス領域であっても、目的や働き方、必要なスキルは大きく異なります。自分の志向やキャリアイメージに合ったポジションを選ぶことが重要です。

日本企業の実態|FP&Aは「経営管理部門」に含まれることが多い?

ポイント
  • 日本企業ではFP&Aを「経営管理」や「経営企画」部門に内包しているケースが多い
  • 欧米に比べて職種の定義や役割が曖昧になりがち
  • 部署名だけで判断せず、実際の業務内容を確認することが大切

 FP&A(Financial Planning & Analysis)は、本来「財務企画・業績分析・経営支援」を担う専門職です。しかし日本企業では、この機能が明確に分離されておらず、「経営管理部」や「経営企画部」などに含まれているケースが多く見られます。

特に中堅企業や伝統的な業種では、「FP&A」という名称そのものが存在しない場合も少なくありません。そのため、求人票や部署名だけでは実態がわかりにくく、混同されがちです。欧米では独立した職種として確立されていますが、日本ではまだ発展途上と言えるでしょう。

こうした背景から、転職やキャリア選択の際には、部署名だけでなく「業績分析」「予算策定」「経営層へのレポート」など、具体的な業務内容に注目することが重要です。役割の実質がFP&Aであれば、名称に関係なくその経験はキャリア資産となります。

比較でわかる!経理・財務・FP&A・経営企画の全体像【図解あり】

ポイント
  • 「経理・財務=実行部隊」「FP&A・経営企画=経営判断支援」
  • 時間軸・役割・スキル・キャリアの方向性がそれぞれ異なる
  • どの職種もステップアップの土台になるが、求められる適性は違う
スクロールできます
職種主な業務内容時間軸の焦点役割・位置づけ求められるスキルキャリアの特徴
経理企業活動に伴う「お金の出入り」の記録・処理、売上・仕入・経費の帳簿記録、月次・年次決算業務、請求書発行・振込処理・給与計算過去のお金の動きの記録会社の「健康診断」を行う役割、正確な記録と処理が不可欠簿記の知識、会計の基本、ミスのない処理能力、地道な積み重ねファイナンス職の入口、未経験者にも人気、財務やFP&Aへのステップアップ可能
財務企業の事業活動に必要な資金の調達・運用、日々の資金繰り管理、金融機関との交渉、投資計画に応じた資金戦略の立案未来のお金の流れをどう設計するか企業の血液循環のような存在、経営層との距離が近い、銀行や投資家との外部ステークホルダーとの調整高い信頼性、交渉力、会計知識経理や会計知識からステップアップ可能、スキル次第で経営の中枢に関わることも可能
FP&A(Financial Planning & Analysis)予算の策定、業績のモニタリング、差異分析、売上やコストの動きを分析過去と現在の数字から未来の戦略を描く経営の意思決定を数字でサポート、攻めのファイナンス論理的思考力、ビジネス理解、コミュニケーション力外資系企業や上場企業で重視、ニーズの高まる分野、経理や財務からのキャリアアップ可能
経営企画企業全体の方向性を定める、中長期の事業戦略を設計・実行、経営戦略の立案、新規事業の検討、組織再編、M&Aの検討、KPI管理、競合分析会社の将来を形づくる経営陣の意思決定を補佐する参謀的存在、現場との温度差を埋める翻訳者の役割論理的な思考力、数字に基づいた判断力、プレゼン・調整・交渉といったコミュニケーション能力、事業や組織に対する広範な理解未経験からの転職は困難、経理・財務・FP&Aでの実績を活かしたキャリアアップが多い、経営視点で働きたい人に適している

経理・財務・FP&A・経営企画は、いずれも“数字を扱う仕事”として一括りにされがちですが、その役割・スキル・キャリア特性は大きく異なります。以下で各職種の特徴を整理しながら、キャリア選びのヒントを紹介します。

まず経理は、企業活動に伴う「お金の出入り」を正確に記録し、帳簿作成や決算書作成、請求書の発行、給与計算などを行う仕事です。時間軸でいうと「過去」に焦点を当て、会社の“健康診断”を行う存在として、経営判断の土台を支えます。ミスのない処理能力や会計の基本知識が求められ、未経験からでもチャレンジしやすい職種です。

財務は、会社の資金繰りや資金調達を担い、「未来のお金の流れをどう設計するか」に向き合う仕事です。銀行や投資家と交渉する場面も多く、社外との接点が多いのが特徴です。経営層に近く、企業の“血液循環”のような役割を担うため、高い信頼性や交渉力、金融知識が求められます。経理経験を土台に、よりダイナミックな業務に挑戦したい人に向いています。

FP&A(経営管理)は、予算策定や業績モニタリング、差異分析などを通じて、経営陣の意思決定を数字でサポートする“攻めのファイナンス”です。「過去と現在の数字をもとに未来を予測する」ことが主なミッションで、経営陣と事業部門の間をつなぐブレーン的な役割も担います。論理的思考力やビジネス理解、コミュニケーション能力が求められ、外資系企業や上場企業でもニーズの高い職種です。

最後に経営企画は、企業の中長期戦略を描き、全体の方向性をリードするポジションです。新規事業の立案、M&Aの検討、KPI管理、競合分析なども担い、経営層と最も距離が近い存在です。未経験からの転職はやや難易度が高いですが、経理・財務・FP&Aでの実績を武器にキャリアアップする道もあります。数値分析だけでなく、組織や事業全体への理解、戦略的な視点が求められます。

各職種のキャリア特性を整理すると、経理はファイナンス職の“入り口”として安定志向の人に人気があり、そこから財務・FP&Aへとステップアップが可能です。FP&Aや経営企画は、より高度な分析や経営視点を求められますが、将来的には幹部候補としての活躍も期待されます。

自分にどの職種が合っているかを判断するには、「数字に向き合う姿勢」「社内外との関わり方」「戦略か実務か」などの軸で整理すると、自ずと答えが見えてくるはずです。まずは今の自分のスキルと志向を見つめ、将来どのようにキャリアを広げたいのかを考えることから始めてみましょう。

経理・財務は“実務”中心、FP&A・経営企画は“戦略”寄り

ポイント
  • 経理・財務はルールに基づく「実行」が主な役割
  • FP&A・経営企画は数字を使った「分析・提案」が中心
  • 求められるスキルや思考スタイルが大きく異なる

経理・財務・FP&A・経営企画はすべて“数字”を扱う職種ですが、そのスタンスには大きな違いがあります。特に「実務」と「戦略」という視点で分けると、それぞれの仕事の本質がより明確になります。

まず経理は、日々の取引を正確に記録し、帳簿を作成していく「ルーティン業務」が中心です。ミスのない処理能力と地道な積み重ねが求められ、決められたルールの中で確実に仕事を遂行する力が重要です。

財務も実務寄りではありますが、資金繰りや資金調達といった“お金の流れ”をコントロールする役割を担っています。銀行対応や資金戦略の策定など、ルーティンに加えて判断力や交渉力も必要とされる場面が多い職種です。

一方、FP&Aは数字をもとに「なぜ売上が伸びたのか?」「来月はどうなるか?」といった因果関係や傾向を分析し、将来に向けた意思決定を支援するのが仕事です。単なる数字の管理ではなく、“数字をどう読むか”“どう活かすか”に重点があります。

さらに経営企画になると、視点は一気に経営全体に広がります。中長期の経営戦略や事業構想の立案、組織再編やM&Aなど、企業の未来そのものを形づくる役割を担います。前例のないテーマを扱うことも多く、抽象度の高い課題に向き合う力が求められます。

このように、経理・財務は「決められたことを正確にこなす力」、FP&A・経営企画は「不確実な未来に対して考え、提案する力」が求められます。どちらが上位ということではなく、「実務型」か「戦略型」かという志向や思考の違いによって向き不向きが分かれます。

キャリアの第一歩としては、経理で実務の基礎を固める選択肢もあれば、分析や提案が得意ならFP&Aを目指すという道もあります。まずは自分の志向と適性を知り、戦略寄りの仕事か、実務寄りの仕事かを見極めることが大切です。

FP&Aの仕事とは?|数字をもとに経営判断を支える役割

ポイント
  • FP&Aは予算策定・業績分析・経営への提案を担う部門
  • 「過去・現在の数字から未来を読む」分析が中心
  • 経営に近い立ち位置で、提案力や論理的思考が求められる

FP&A(Financial Planning & Analysis)は、日本語で「経営管理」や「財務企画」と訳されることが多く、企業の経営判断を数字面から支える重要なポジションです。経理が集めた実績データをもとに、業績のモニタリングや予実管理(予算と実績の差異分析)を行い、経営に有益なインサイトを提供します。

具体的な業務には、予算の策定、四半期ごとの業績モニタリング、KPIの分析、コスト構造の見直し、事業部門へのレポーティングや経営層への提案などが含まれます。ただの数字の集計ではなく、「なぜ売上が落ちたのか?」「どの施策が収益改善につながったのか?」といった因果関係を見抜く力が求められます。

FP&Aの特徴は、“未来”を意識した分析に重きを置いている点です。たとえば来期の売上予測やコストの最適化、投資対効果のシミュレーションなど、数字をもとに経営資源の配分判断を支援します。経理や財務と異なり、明確な正解がない中で仮説と検証を繰り返しながら、意思決定をサポートする「経営のブレーン」としての側面があります。

そのため、FP&Aには論理的思考力・ビジネスモデル理解・データ分析スキル・コミュニケーション力が求められます。現場の実情を理解したうえで、事業部門や経営陣と議論し、意思決定に貢献する必要があるからです。

近年は多くの企業でFP&A機能の強化が進められており、外資系企業や上場企業では特に重要視されています。また、経営に近い立ち位置で経験を積むことができるため、将来的にCFOや経営企画へのキャリアアップを目指す人にとっても魅力的なステージと言えるでしょう。

「数字を“作る”仕事」ではなく、「数字から“読み解く”仕事」。
FP&Aは、実務から一歩踏み出して、経営に近い視点でビジネスを支える役割を担いたい人にこそおすすめのポジションです。

経理とFP&Aで実際に働いてわかった本当の違い

ポイント
  • 経理とFP&Aはどちらも「数字に強いこと」が最低条件
  • 経理は財務会計のルールに基づき“正しい数字を作る”役割
  • FP&Aは作られた数字を分析し、事業を動かす提案を行う役割
  • 経理は簿記や会計士など資格保有者が特に活躍しやすい
  • FP&Aは資格必須ではなく、事業理解・調整力・Excelスキルが評価されやすい
  • 両方を経験すると、数字の“作り手”と“使い手”両方の視点を持て、キャリアの幅が広がる

経理とFP&A(Financial Planning & Analysis)。どちらも数字を扱う仕事であり、社内でも「似たような職種」と思われがちですが、実際に両方で働いた経験から言えば、その性質や求められる能力はかなり異なります。ここでは、経理とFP&Aの両方を経験した立場から、「実際に現場で感じた違い」と「向いている人のタイプ」をお伝えします。

共通点:どちらも数字に強いことが最低条件

まず大前提として、経理とFP&Aの両方に共通して必要なのは「数字への強さ」です。単に計算が早いという意味ではなく、「数字の意味を理解する」「数字から異常や傾向を察知する」感覚が求められます。

経理では1円単位の正確性が求められ、FP&Aでは数千万単位の予算や実績の差異分析が日常茶飯事です。どちらも桁感や数字の整合性に敏感であることが、業務の品質を左右します。

経理:数字を“作る”仕事

経理の役割は、企業活動の全てを会計ルールに沿って記録し、正しい数字を“作る”ことにあります。売上や費用の計上、資産や負債の管理、決算業務など、財務会計の原則を理解したうえで正確な処理を行うことが求められます。

私が経理にいたとき、特に活躍していたのは、日商簿記1級やUSCPAなど資格保有者、あるいは会計士試験経験者など、財務会計のルールを深く理解している人でした。資格がなくても実務経験でカバーできる場合もありますが、やはりルールを体系的に学んでいる人のほうが、処理の精度やスピード、監査対応の強さが際立っていました。

経理は「会社の公式記録」を作る部門であり、ここでの数字の正確性がFP&Aや経営企画の分析の土台になります。

FP&A:数字を“分析し、動かす”仕事

一方でFP&Aは、経理が作った数字をもとに「分析し、未来を見据えて動かす」ことが仕事です。予算策定、実績管理、差異分析、経営層へのレポーティングなど、数字を通じて事業の方向性に影響を与えます。

私がFP&Aを経験して感じたのは、「会計資格が必須ではない」ということ。もちろん財務会計の知識はあったほうが有利ですが、それ以上に求められるのは、数字をどう整理し、どうアウトプットするかという“コンサル的な力”です。

例えば売上が計画を下回ったとき、「原因はどこか」「何を改善すべきか」「次の四半期でどうリカバリーするか」を、事業部や経営陣と議論しながら具体的なアクションにつなげていく必要があります。この過程では、エクセルでのシミュレーションや資料作成スキル、事業の構造を理解する力、そして社内調整力が欠かせません。

資格の有無と評価のされ方の違い

経理とFP&Aでは、評価されるポイントも異なります。経理は「資格+実務精度」が評価の軸になりやすく、簿記や会計士などの資格がキャリアの進展に直結します。資格はなくても、監査対応や税務知識を含む幅広い会計スキルを持っていれば高評価です。

一方FP&Aでは、資格よりも「アウトプットの質」で評価されます。たとえば、経営会議で「この分析があったから意思決定できた」と言われる資料を出せる人は、資格がなくても評価が高くなります。つまり、FP&Aは“成果物”と“社内での影響力”がキャリアを左右します。

実際に両方やってみて感じた適性の違い

経験上、経理に向いている人は「ルールや基準に忠実」「正確性を徹底できる」「期限を守れる」タイプです。細かい確認や同じ作業を安定して続けられる人は強みを発揮します。

FP&Aに向いている人は、「数字からストーリーを作れる」「事業全体を理解したい」「人を巻き込むのが苦にならない」タイプです。答えが一つではない問題に対して仮説を立て、必要な情報を集め、提案まで持っていける人が活躍します。

両方経験して見えたキャリアの広がり

経理経験があるFP&Aは、数字の正確性や整合性チェックに強く、分析の信頼度が高まります。逆にFP&A経験がある経理は、数字の背景や事業視点を理解できるため、単なる入力作業にとどまらず業務改善や経営サポートまで提案できます。

実際、私は経理からFP&Aに異動したことで「数字を作る側の苦労」が分かり、依頼の仕方や締め日の設定が格段にうまくなりました。逆にFP&Aの経験を経理に戻って活かしたときは、月次決算の数字をもとに経営陣への速報レポートを作るなど、従来の経理業務に付加価値をつけられました。

転職やキャリア形成で意識すべきポイントは?|向いている人の特徴

ポイント
  • 職種ごとに求められる性格やスキルの傾向は異なる
  • 実務型(経理・財務)と戦略型(FP&A・経営企画)で適性を見極める
  • 「正確性」「分析力」「経営視点」など、自分の強みに合った選択が大切

経理・財務・FP&A・経営企画といったファイナンス系職種は、どれも数字を扱う点では共通していますが、求められる人材像やスキルは大きく異なります。転職やキャリア形成を考える際には、自分の強みや志向がどの職種にフィットするかを見極めることが重要です。

たとえば経理は、正確な処理や几帳面さが求められるため、「コツコツ型で細かい作業が得意」「ルールに沿って仕事を進めるのが好き」といったタイプの人に向いています。未経験でも簿記などの基礎知識があればチャレンジしやすく、安定志向の人にとっては魅力的な選択肢です。

財務は、社内外との折衝や資金計画なども含まれるため、「数字が得意なだけでなく、調整力や交渉力も発揮したい」「金融や投資に興味がある」といった人におすすめです。やや対外対応が多くなるため、経理よりも“社交性”が求められる場面が増えてきます。

FP&Aは、数字の背景を読み解き、経営判断を支援するポジションです。ロジカルに物事を考えるのが得意な人や、変化のある仕事にやりがいを感じる人に向いています。「自分の分析で会社を動かしたい」「経営に近い視点を持ちたい」と感じる人には、非常にやりがいのある職種です。

経営企画は、抽象度の高いテーマや不確実性のある課題に挑むことが多く、「仮説を立てて構造的に考える力」や「事業全体を俯瞰する視座」が求められます。「アイデアを形にしたい」「経営層と近い距離で働きたい」と考える人には適した環境ですが、未経験からいきなり目指すのはややハードルが高めです。

どの職種も、経験を積むことで別の職種へのステップアップは十分可能です。大切なのは、「自分の現在のスキル」「身につけたい能力」「将来どう働きたいか」といった観点で、職種を選ぶこと。転職ありきではなく、中長期でキャリアをどう描くかを意識することが、納得感のある選択につながります。

職種選びに迷ったら?|志向・スキルで考えるキャリアの分かれ道

ポイント
  • 実務志向か戦略志向かで向いている職種が分かれる
  • 性格や得意分野に応じた選択がキャリア満足度を高める
  • スキルは後から身につけられるが、志向との相性は重要

経理・財務・FP&A・経営企画のどの職種を選ぶべきか迷ったときは、「自分の志向」と「得意なスキル」からキャリアを逆算して考えるのが有効です。仕事内容の違いに目を奪われがちですが、実は日々の思考スタイルや性格が職種適性を大きく左右します。

たとえば、ルールに沿った作業を地道にこなすのが得意な人や、安定した環境でコツコツ経験を積みたい人は、経理が向いている可能性が高いです。正確さや慎重さを武器にできる人にとって、経理は安心して実績を積み上げられる職種です。

一方で、金融リテラシーがあり、社外との交渉にも抵抗がない人や、実務にもスピード感やダイナミックさを求める人は財務が合っているかもしれません。資金戦略や金融機関との調整など、行動力と判断力が問われる場面も多いため、実行力に自信がある人にはフィットしやすい職種です。

分析が好きでロジカルに物事を考えるのが得意な人は、FP&Aに強く適性があります。「数字の裏側にある意味を読み解きたい」「経営に役立つ仮説を立てることにやりがいを感じる」というタイプの人にとって、FP&Aは非常に魅力的なフィールドです。

そして、抽象的な課題に挑むのが好きな人や、経営や組織全体に影響を与えたいという意欲がある人は、経営企画を目指すのがよいでしょう。戦略的な視点と高いコミュニケーション力が求められますが、そのぶん影響力の大きい仕事に関われるチャンスがあります。

ただし、どの職種でも「経験を通じて適性が見えてくる」ことも多いため、最初から完璧なマッチを狙う必要はありません。大切なのは、「自分がどう働きたいか」「何を大事にしたいか」を言語化し、それに近い環境を選ぶことです。

迷ったときは、「正確性を活かしたいのか、分析力を活かしたいのか」「安定を重視するのか、裁量を重視するのか」といった二択で考えると、自分の軸が見えてきます。志向とスキルの両方から職種を選ぶことで、長く続けられるキャリアを築く第一歩になります。

まとめ

経理・財務・FP&A・経営企画は、いずれも企業の数字を扱う専門職ですが、それぞれの役割や視点、求められるスキルは大きく異なります。経理・財務は実務や資金管理を中心に据えた“守り”の仕事であり、FP&A・経営企画は分析や提案を通じて経営判断を支える“攻め”の仕事です。

日本企業では、FP&Aが経営管理や経営企画部門に含まれていることも多く、職種名だけで判断するのは難しい側面もあります。図解などを活用して職種ごとの違いを理解することで、自分の志向やスキルに合った道を見つけやすくなります。

キャリアの選択肢に迷ったときは、「ルールに沿った実務が得意か」「戦略的な提案が得意か」といった志向や、「数字の正確性に強いか」「仮説思考ができるか」といったスキルの傾向を基準に考えてみましょう。

ファイナンス職は、未経験からでも着実にステップアップできる領域です。まずは自分に合ったポジションを見つけて、一歩ずつキャリアを築いていくことが、将来的な専門性や市場価値の向上にもつながります。

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