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財務経理・FP&A・経営企画に資格は必要か(実際に働いて分かったこと)

「財務経理・FP&A・経営企画で働くには資格が必要なのか?」
会計士や税理士といった資格を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、実際にこれらの職種で働いてみると、資格よりも経験や事業理解の方がキャリアの成長に直結することを強く実感します。

財務経理では確かに会計士や税理士資格を持つ人も多く在籍し、開示業務や監査対応では力を発揮しています。ただし日々の決算や資金管理の現場では、資格の有無よりも「実務を確実に回せるかどうか」が評価の中心です。さらにFP&Aや経営企画に進むと、分析力や戦略思考、そして事業を深く理解した上で提案できる力が求められ、バックグラウンドの多様さがむしろ強みになります。

本記事では、実際に現場で働いた経験をもとに、「財務経理・FP&A・経営企画に資格は必要なのか」をリアルに解説します。机上の理論ではなく、日々の業務を通じて感じた資格の位置づけや、経験とのバランスを整理し、これからキャリアを築く人に役立つ視点をお届けします。

目次

財務経理に資格は必要か?結論から解説

ポイント
  • 資格より経験が優先される
  • 早く現場に入ることが重要
  • 資格は知識を体系化するツールとして有効
  • 理論と実務をつなぐ力が成長の鍵

結論からいえば、財務経理のキャリアにおいて資格は必須ではありません。最優先されるのは経験・実務能力であり、資格よりも「現場で数字を扱った経験」をどれだけ積んでいるかが評価されます。

言い換えるなら、財務経理の世界では 資格<経験 という構図が成り立ちます。

経験が最優先される財務経理の世界

財務経理のキャリアを考えるとき、多くの人が「資格が必要なのか?」という疑問を抱きます。結論から言えば、財務経理は資格よりも経験が圧倒的に重視される世界です。仕訳入力や月次決算、四半期決算、有価証券報告書の作成といった業務は、会社ごとの会計システムや内部ルールに依存しており、机上の理論だけでは習得できません。

財務経理で評価されるのは「決算を任せられるか」という実務力ですが、そこから成長していくには理論と実務をつなぐ力が必要です。管理会計や内部統制、連結決算といったミドルオフィス的な業務は、会計基準という理論を理解しつつ、事業の実態を正しく数字に反映させる力が求められます。

さらに事業部と対話し、施策の収益性を把握して経営判断につなげることも重要です。ここでは資格の有無よりも、現場で培った経験と事業理解の深さ が評価されます。

つまり、資格<経験、理論<現場。実際に現場に入って数字を動かすことこそが、財務経理としてのスキルを育てる最短ルートなのです。

早く現場に入ることの価値

資格の勉強を長く続けるよりも、できるだけ早く財務経理職に就くことがキャリア形成には有利です。若いうちから仕訳や決算を経験することで、会計知識が実務と結びつき、理解が一気に深まります。資格の勉強は後からでも可能ですが、現場での成長速度は早期にしか得られない強みです。

経験を積んだうえで資格を取得すれば、知識を整理して理論武装でき、経営層や監査法人とのコミュニケーションでも説得力を増します。

資格の役割:知識の体系化とキャリアの幅

もちろん資格が無意味というわけではありません。自身の業務を深く理解することは資格取得しなかったとしても当然重要であり、知識を体系的に習得している人とそうじゃない人ってすぐに分かりますよね。説得力が違います。そのプロセスとして資格取得は最も効率的です。

採用でも、日商簿記2級程度でも「基礎知識がある」と評価されやすく、未経験から財務経理に入るためのきっかけになります。さらに日商簿記1級や会計士資格を持てば、海外会計基準やグループ経営管理といった専門性の高いポジションに進む可能性も広がります。

資格は「キャリアを強化する補強材料」と考えるのが適切です。

大手企業の財務経理に多い資格|実際に働いて分かった実態

ポイント
  • 大手企業の財務経理では有資格者の割合が高い
  • 公認会計士は特に多く、開示や監査対応で強みを発揮
  • 税理士資格は国際税務や法人税で信頼性が高い
  • 資格だけでは不十分、実務経験との掛け算が重要

実際に働いみるとわかるんですが、大手上場企業の財務経理部門には、資格を持った専門人材が少なくありません。特に公認会計士や税理士といった有資格者が目立ち、場合によっては部門全体の3割を占めることもあります。これは、大手企業ならではの高度で専門的な会計・税務・法務対応が求められるためです。

ただし、資格があること自体は有利に働く一方で、それだけでは十分ではなく、やはり実務経験との掛け算が求められます。

大手企業に資格保有者が多い理由

大手上場企業の財務経理では、資格保有者が一定数在籍しています。特に公認会計士や税理士といった資格を持つ人が目立ち、企業によっては部門全体の3割を占めることもあります。背景には、高度な専門性が求められる業務領域が多いことがあります。

具体的には、IFRS導入や数十社規模の子会社を含む連結決算、決算短信や有価証券報告書の開示資料作成など、法律や会計基準を深く理解していなければ対応できないタスクが多く存在します。こうした理由から、大手企業の財務経理では資格保有者の存在感が強いのです。

公認会計士が多い理由と強み

最も多いのは公認会計士です。監査法人やコンサルティングファーム出身者が大手企業の経理に転職するケースが多く、開示資料作成や監査対応の場面で特に強みを発揮します。

会計基準に基づく判断や監査法人との折衝は、会計士の専門知識と経験が活かされる分野です。大手企業では外部監査人とのコミュニケーションが日常的に発生するため、会計士資格を持つ人材は重宝されます。

ただし、監査経験と経理実務にはギャップがあります。監査はレビュー中心であり、仕訳起票や月次決算の締めなどオペレーション業務に不慣れな場合も多いです。そのため、資格者であっても現場実務をキャッチアップする努力は不可欠です。

税理士資格の役割

次に目立つのが税理士資格者です。大手企業では法人税申告や国際税務、移転価格対応などの高度な税務処理が必要になります。こうした分野では、税理士資格を持つ人材が社内にいると安心感があります。

ただし、大手企業では実務の多くを外部の税理士法人にアウトソースすることも多いため、社内の税理士資格者は「外部との橋渡し役」としての役割を果たすことが多いのも特徴です。

資格だけでは不十分

大手企業においても、資格は強力な武器ではありますが、それだけではやはり十分ではありません。会計士や税理士であっても、ERPシステムの操作や事業部との調整力が欠けていれば即戦力にはなりません。

大手企業の財務経理で最も重要なのは、資格で得た理論を現場の実務に落とし込み、経営や事業部と対話できる力 です。資格は入り口を広げるものですが、成果を出すにはやはり経験が欠かせません

中小企業の財務経理は資格保有者が少ない理由|実際に働いて分かった実態

ポイント
  • 中小企業では資格保有者はほとんどいない
  • 実務経験や柔軟性が優先される
  • 幅広い業務を一人で担うため資格より対応力が重要
  • 資格取得の投資対効果が低いと見られがち

さらに、私はベンチャー企業でも働いたことがあるんですが、(ベンチャー企業含め)中小企業の経理部門は人員が限られており、一人の担当者が仕訳入力から給与計算、税務申告準備、資金繰りまで幅広くこなす必要があります。このため、資格で証明される専門知識よりも、実務を回せる即戦力や柔軟性が重視されます。

また、資格を持っていても待遇や評価に直結しにくいことも、資格取得が進まない背景のひとつです。大手企業であれば会計士や税理士資格が昇進や専門職採用に直結しますが、中小企業ではそのような制度が整っていないことが多いです。

さらに、税務申告や監査対応といった高度な業務は外部の会計事務所や税理士法人にアウトソースされることが一般的です。社内に資格者がいなくても業務は成立するため、あえて有資格者を採用する必然性が薄いのです。

結論として、中小企業の財務経理は「資格よりも実務力」で評価される世界です。資格がなくても、幅広い業務を正確にこなし、経営者や銀行対応を任せられる人材こそが高く評価されます。

FP&Aに資格は必要?会計知識と分析力のバランス

ポイント
  • FP&Aに必須の資格は存在しない
  • 会計知識は基礎として必要だが資格で十分カバー可能
  • より重視されるのは分析力・論理的思考力・コミュニケーション力
  • 財務経理出身者は会計知識で有利だが他分野出身者も多い

FP&A(Financial Planning & Analysis)は企業の経営判断を数字で支える重要なポジションです。財務経理と比べると「資格がなければ務まらない」という業務ではなく、分析力や事業理解が大きく評価されます。では、FP&Aに資格は必要なのか。実際の働き方やキャリアパスを踏まえて整理してみましょう。

FP&Aに資格は必須ではない

まず結論から言えば、FP&Aに必須の資格は存在しません。財務経理のように会計士や税理士資格が採用や昇進に直結する世界ではなく、資格の有無だけでキャリアが決まることはほとんどありません。FP&Aの中心的な役割は「予算策定・業績管理・差異分析・経営報告」といった経営に近い業務であり、求められるのは会計の専門ライセンスではなく、数字を用いた分析力と経営目線です。

そのため、資格があることでスタートラインに立てるというよりは、資格は学習の過程で知識を得るための手段 という位置づけに近いと言えるでしょう。

会計知識は必要不可欠な基礎

FP&Aに資格は必須ではないものの、会計知識は確実に必要です。損益計算書や貸借対照表を理解できなければ、予算やKPIを分析しても実態を正しくつかむことはできません。キャッシュフロー計算書の読み方が分からなければ、資金繰りや投資余力に関する経営判断に貢献するのも難しくなります。

その意味では、日商簿記や会計士など資格取得の勉強で得られる知識は大いに役立ちます。特にFP&Aは「経理が作った数字をどう経営に生かすか」を担うため、基礎的な会計理論は欠かせません。ただし、資格取得そのものが条件ではなく、知識をどのように実務に活かせるか が問われるのです。

やっぱり、監査経験や財務経理の経験が有無って結構差がつきます。やはり基本ルールである財務会計の知識を前提として管理会計をどう整理・分析するか、といった考え方なので、同じ売上や利益の分析でも、数字の背景を理解している人とそうでない人ではアウトプットの精度に差が出る ということですね。

より重視されるのは分析力とコミュニケーション力

FP&Aが本当に評価されるポイントは、資格や会計知識だけではありません。数字を分析する力、論理的に説明する力、そして事業部や経営陣を巻き込むコミュニケーション力 がより重要です。

経理と異なり、FP&Aは「数字を作る」のではなく「数字を読み解き、未来の行動につなげる」役割を担います。そのため、売上の変動要因やコスト構造の課題を見抜き、それを誰もが理解できる形で伝える力が不可欠です。さらに、分析結果を踏まえて経営陣に提案したり、事業部と議論したりする場面も多く、人を動かすスキルがキャリアを左右します。

多様なバックグラウンドを持つ人材

実際にFP&Aで活躍している人材のバックグラウンドは非常に多様です。財務経理出身者は会計知識を武器にしやすく、数字の信頼性を担保できる強みがあります。しかし、彼らが多数派というわけではありません。営業やマーケティング出身者は事業現場の感覚を数字に落とし込む力があり、戦略コンサル出身者はロジカルシンキングや仮説構築に優れています。

つまり、FP&Aは「資格がある人しかできない仕事」ではなく、自分の強みを数字に変換して経営に貢献できる人材 が評価されるポジションなのです。

経営企画に資格は必要?戦略思考と事業経験の方が重要

ポイント
  • 経営企画に必須の資格は存在しない
  • 資格よりも戦略思考力や事業経験が重視される
  • 会計知識は基礎として必要だが補強的な位置づけ

経営企画は、会社の方向性を定め、経営陣をサポートする極めて重要なポジションです。では「経営企画に就くには資格が必要なのか?」というと、答えはノーです。会計や経済の資格は役に立つ場面もありますが、それ以上に評価されるのは戦略思考力、事業理解、そして実務経験です。では、なぜ資格よりもこれらが重視されるのでしょうか。

経営企画に資格は必須ではない

まず前提として、経営企画に必須の資格は存在しません。公認会計士や税理士、MBAといった肩書きがあれば有利に働くことはありますが、これらは「必須条件」ではなく、あくまで補強的な武器に過ぎません。経営企画の業務は、経営計画の策定、事業戦略の立案、新規事業やM&Aの検討など、資格だけではカバーできない幅広い領域に及びます。

つまり経営企画で必要なのは、資格の有無ではなく、数字や情報を経営の意思決定に変換できる力 です。

戦略思考と事業経験の重要性

経営企画の仕事で最も評価されるのは、戦略思考と事業経験です。たとえば新規事業を検討する際には、会計や経済理論の知識も役立ちますが、それ以上に「顧客のニーズをどう捉えるか」「競合に勝てる戦略をどう描くか」といった視点が不可欠です。

また、既存事業の改善を提案する場合も、現場での経験がある人ほど、数字の背後にある実態を理解できます。営業出身者であれば「どの施策が売上につながりやすいか」を肌感覚で知っており、それを戦略に落とし込むことで説得力のあるアウトプットができます。

会計知識は基礎として必要

一方で、会計知識は経営企画における必須の基盤です。経営計画や投資判断は、財務データに基づいて行われます。損益計算書や貸借対照表を理解できなければ、経営数値を踏まえた戦略提案は難しくなります。

ただしこれはあくまで「基礎力」であり、資格を取得することで強化できる分野です。簿記や会計士の勉強を通じて得られる知識は役立ちますが、実際にはそれをどう経営目線で活かせるかが問われます。資格は知識の補強にすぎず、戦略立案や事業提案の能力を代替するものではありません。

実際に働いてみて|FP&A・経営企画の多様なバックグラウンド

ポイント
  • FP&A・経営企画には必須のキャリアパスが存在しない
  • 財務経理出身者は会計知識で強みを発揮する
  • 営業やマーケ出身者は事業理解と現場感覚を活かせる
  • コンサル出身者は戦略思考やロジカルシンキングに強み
  • 多様性こそがFP&A・経営企画の特徴であり組織の強み

実際にFP&Aや経営企画で働いてみると、驚くほど多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっていることに気づきます。財務経理のように「資格や経験がないと務まらない」という職種ではなく、さまざまなキャリアを経た人が、自分の強みを数字や戦略に変換して成果を出しているのです。ここでは、実際の職場で見られる人材のタイプと、それぞれがどう強みを発揮しているかを整理してみます。

財務経理出身者|会計知識をベースにした分析力

FP&Aや経営企画の中で一定数を占めるのが財務経理出身者です。彼らは仕訳や決算を経験しているため、数字の正確性や整合性を確保する力に優れています。たとえば、管理会計上のデータを扱う際に「この数字は財務会計のルールに照らすと正しいのか」をチェックできるのは大きな強みです。

また、監査法人出身者も同様に、会計基準や開示ルールを深く理解しているため、経営計画やシナリオ分析の際に「この前提は会計上問題ないか」を判断できる力があります。会計知識を基盤に管理会計を組み立てられる点で、財務経理出身者はFP&A・経営企画において安定感のある存在です。

営業・マーケティング出身者|事業理解を活かす

一方で、営業やマーケティング出身者 も少なくありません。彼らは現場で顧客や競合に向き合った経験があるため、数字の背景を深く理解できます。たとえば「なぜ売上が伸び悩んでいるのか」「どの施策が収益改善につながるのか」といった問いに対して、机上の分析ではなく、現場感覚を交えた提案が可能です。

経営企画では、新規事業やマーケティング戦略を考える場面も多いため、こうしたバックグラウンドを持つ人は数字にストーリーを与える役割を果たします。営業やマーケ出身者の意見が加わることで、分析結果がよりリアルで実行可能性の高いものになるのです。

コンサル出身者|戦略思考とロジカルシンキング

また、戦略コンサル出身者もFP&Aや経営企画に一定数います。彼らの強みは、フレームワークを使った仮説思考やロジカルシンキングです。市場分析や競合比較を体系的に行い、経営陣に納得感のある資料を提示できる点は大きな武器です。

ただし、コンサル出身者は実務の会計処理や現場の細かいオペレーションには不慣れなことが多く、財務経理や営業出身者と組むことで強みが補完されます。戦略的な視点と現場の知識をどう融合させるかが、チームとしてのアウトプットの質を決めるのです。

多様性こそがFP&A・経営企画の強み

こうした多様なバックグラウンドを持つ人材が同じ部門に集まることこそ、FP&A・経営企画の最大の特徴であり、強みです。会計知識を持つ人が数字の信頼性を担保し、営業出身者が現場感覚を加え、コンサル出身者が戦略的な骨格を作る。異なる強みを掛け合わせることで、経営にとって価値のあるアウトプットが生まれるのです。

逆に言えば、特定のバックグラウンドだけでは視点が偏り、経営に必要な多面的な分析や提案が難しくなります。FP&A・経営企画の現場で成果を出すには、「自分のバックグラウンドをどう活かすか」と同時に、「他分野のメンバーとどう協働するか」が問われるのです。

まとめ

財務経理・FP&A・経営企画を比較すると、資格の重要度は職種によって大きく異なることが分かります。財務経理では会計士や税理士といった資格者が一定数存在し、専門性を補強する役割を果たしますが、最も評価されるのはやはり「決算を回せる実務力」です。中小企業ではさらに資格の存在感が薄れ、幅広い業務をこなす経験が重視されます。

一方、FP&Aや経営企画では資格そのものが必須条件となることはなく、むしろ戦略思考・分析力・コミュニケーション力、そして事業理解が評価の中心です。財務経理や監査の経験を持つ人は会計知識を強みにできますが、営業・マーケ・コンサル出身者もそれぞれ異なる視点を持ち込み、組織全体のアウトプットを高めています。

結論として、資格はどの職種でも「補強的な武器」にはなりますが、キャリアを左右する決定的な要素ではありません。資格よりも経験、理論よりも現場、そして自分の強みをどう経営に結びつけるか。これこそが、財務経理・FP&A・経営企画というキャリアを歩む上で共通する最大のポイントだと言えるでしょう。

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